はせろぐ

コンサルタントの余暇を綴るログ

醸造、長期熟成、参入障壁のお話

ワインについては全くと言っていいほど知識がないわけですが、親切そうな本がKindleで売っていたので購入してみました。

 

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その中で、醸造と経営について触れている箇所がありました。

シャンパン造りのカギは資金だ。ノンヴィンテージ物で最低15か月間の熟成が必要となる。瓶詰は早くても、収穫の翌年春以降。ブドウを摘んで、お金になるまでに2年はかかる。効率的な経営のため、メゾンの吸収合併が進んだ。5大グループに分かれ、全体の売り上げの3分の2以上を占める。

安いものは熟成期間も短い。キャッシュフローを重視して、早く出荷してしまう。複雑な香味は、長い瓶内熟成をさせないと得られない。

 熟成期間が長いほどキャッシュが寝てしまうので経営が厳しくなる。ようは、キャッシュリッチじゃないと長期熟成には手が出しにくいわけです。普段仕事していると普通に考えることですが、何だか食べ物の本の中で出てくると面白いですね。

 

実は、先日行った一白水成・渡邊さん&白瀑・山本さんのトークショーでも同じようなお話を聞くことになりました。

 

「お二人は、長期熟成させた古酒は、作らないんですか?」と司会の女性。

苦笑いして二人とも「あれは、お金がある蔵がやるんです(笑)」と。

 

今でこそ一白水成、白瀑は、人気のお酒になっていますが、大きく火がついたのはここ数年。彼らが継いだ十年前くらいは、中々経営状態も厳しい状態だったわけで、長期熟成に手を出すとか言ってられない状態だったわけです。

 

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熟成に要する期間が長いことは参入障壁になってる?

 実はトークショーの後日、コンサルタントの友達と飲みに行ってグタグダとこの辺の話をしていたら、ふと、熟成期間は参入障壁になってるかもねって話で盛り上がりました。熟成が長いほど、前述の通りキャッシュが寝てしまうので、ある程度、キャッシュがあるプレーヤーじゃないと手が出しにくい。

 

 よくよく振り返ってみると、熟成期間が比較的短くて済む*1日本酒やワイン、ビールなんかは信じられないくらいプレーヤーが多いなと。ワインなんて勉強する気を削ぐのに十分なほど種類がある。日本酒だってほぼ日本国内でしか作られてないのに、半端ない数の酒蔵だ。ビールはというと新興国から先進国、幅広く世界中で作られているし、マイクロブルワリーなんて言うくらいだから小規模なスタートアップが可能だ。

 一方で、何年も熟成させる必要があるウイスキーなんかは、アイラモルトならアソコとアソコとアソコと・・・、ジャパニーズモルトならアソコとアソコと・・・、とある程度ハンディ感がある感じがする。もちろん、私がウイスキーの種類をあまり知らないってのもあるけどね。

 

こんなことをグダグダまぶしつつ、熟成期間は参入障壁かもねなんて言いながら飲んでいたわけです。もちろん、手元にfactはないし、キャッシュの回収期間だけが参入障壁ではないわけだけど、検証してみると結構楽しそうな仮説だなってね。

*1:最速で飲めるようになるまでが短いって意味で、勿論これらの中に長期の熟成を要する商品や長期熟成させた方が旨い商品”も”あることは分かってるよ(笑)