はせろぐ

コンサルタントの余暇を綴るログ

NEXT FIVE と高速PDCA酒造り

先日のトークショー記事の続きです。

NEXT FIVEの皆さんが切磋琢磨している様子が伺えるエピソードがありました。

hasebot.hatenablog.com

 

そもそもNEXT FIVEって何よ

秋田県にある5つの酒造で結成された集まりです。

具体的には、新政、白瀑、一白水成、春霞、雪の美人の5つの酒造で構成されます。

どこの酒も旨くて私も良く飲みます。

 

jimoto-b.com

 

「新政の祐輔くんが、去年の秋から蔵に入ってるらしいぞ」
「春霞の栗林さん、杜氏が急死して、途中から栗林さんが酒をつくってるらしいぞ」
五城目一白水成は地元の社員と2人で造り始めてるぞ」

 

今でこそいずれも人気の酒造になっていますが、上記の通り、結成当時は、急に実家を継ぐことになった若手蔵元さんたち中心に、切磋琢磨するために結成されたようです。

(余談ですが、新政の佐藤さんや、白瀑の山本さんは元々実家の酒蔵を継ぐ気がなかったって話も面白いですよね。佐藤さんは元ライター、山本さんは元音楽プロデューサー?ってことで、ユニークな酒を造られるのもこの辺のバックグラウンドが生きてるのかなって。)

 

高速PDCA回してる

トークショーではNEXT FIVEでやる定例利き酒会について言及されました。上記のリンクにもその利き酒会の様子が描かれています。およそ、こんな感じです。

 

定例利き酒会では、その時期に発売している自社商品と、首都圏で売れている商品を合わせた10銘柄で、ラベルを隠して利き酒をして、それぞれの酒質を批評し合います。利き酒能力の向上と、自社商品がどのぐらいのレベルにあるのかを確認しています。自社商品と気付かずに低評価を下してショックを受けることも希にありますが、今ではだいたいの銘柄を言い当てられるようになりました。

 

キレイに書かれていますが、山本さんが、佐藤さんや小林さんにボロックソに言われて凹むことがあるとか、もっと生生しいお話でしたが(笑)

 

それにしても、こと日本酒業界、なかなか保守的なイメージがありますが、品評会に限らず、定例で利き酒をし、お互いにストレートにレビューしながら切磋琢磨する。これを高い頻度でやっていくと、確かに一つの酒蔵に閉じてPDCAを回すよりも圧倒的に早く洗練されて行くんじゃないかって思いました。

 

成長するためには物差しが必要

一白水成の渡邊さんも、自分の蔵に閉じこもっていては何がスタンダードか分からなくなるとおっしゃっていました。

 

例えば、同じくNEXT FIVEの小林さんに「お前の蔵は汚ったねーな」とかつて、よく言われたとおっしゃってました。

当時の渡邊さんとしては、「自分は、生まれてからずっとこの家のこの蔵を見て来たから汚いって言われても・・・それに大分古くからある蔵だから、このくらいが普通じゃないか・・・」といった感想だったそうです。

とはいえ、小林さんに汚い汚い言われるうちにキレイにせねばとなったらしく(小林さんの物差しで測ったって言えますね)キレイにし始めたと。

 

そんなこんながあり、偶然にもトークショーの前日に、小林さんにあった渡邊さん「お前の蔵、きれいになったな」ってコメントを貰ったとか。これって確かに自分の酒蔵にはない物差しを導入したことによる進展だよなあって一人関心してました。

 

企業経営にも似てるよね

こうしたエピソードは、企業経営でも似たように通じるなと、コンサルティングのお仕事と引き合わせて感じてしまいました。

PDCAは耳タコなワードではありますが、それを回す速度だとか、評価する物差しが効いてくるなという発見と言えるなあと。

特に自社や自部門の尺度で評価されるPDCAは、本当にあるべきモノなのかという観点は、ブレークスルーを出すためには重要かもしれません。少なくとも業界のトッププレーヤーの水準、業界平均の水準をベンチマークに取ることは必須でしょう。それを越して隣接業界からのアナロジーを持って、もっと何か出来るはずと発想する所に面白い発見があるのかもと妄想するのでした。