ブーレーズを偲ぶ
フランスの偉大な指揮者であり作曲者であるブーレーズが亡くなった。
20世紀を代表する音楽家がまた一人逝ってしまった。
指揮者としては、バルトークやストラヴィンスキー、祖国フランスのラヴェルやドビュッシーなど19世紀から20世紀前半にかけた時代の作品を得意としていたように思う。作曲者としては、20世紀を代表する現代音楽作曲家の一人と言える。
指揮者としての彼の作品の中から個人的に思い入れのあるものをいくつか紹介したい。
ストラヴィンスキーの3大バレエ
初めて買った「火の鳥」の録音がこれだった。たしか、高校一年生の時だったと思う。大団円の終曲やカスチェイの踊りは繰り返し繰り返し聞いた。多様な声部が入り乱れ極彩色に彩られるストラヴィンスキーの3大バレエは、いずれも素晴らしい録音を残している。
バルトークのピアノ協奏曲全集
ブーレーズによるバルトークのピアノ協奏曲全集は、すべての楽曲においてピアニストとオーケストラを変えている意欲的な1枚だ。
第1番:ツィマーマン&シカゴ響、第2番:アンスネス&ベルリン・フィル、第3番:グリモー&ロンドン響
今でも第3番の第3楽章は、その快活で流麗な音楽が聞きたくなって、たまに聞いていたりする。
バルトークの中国の不思議な役人
初めて中国の不思議な役人を聞いたのは、ブーレーズの録音だった。録音自体は、ニューヨークフィルとの共演で火の鳥とのカップリングのものであったが、演奏としてはこちらのシカゴ響とのものの評価が高い。
中国の不思議な役人もクラシックを聞き始めの頃の私にとっては刺激が強く、興奮して繰り返し聞いていた。組曲版ではなく全曲版の最終部、合唱が入ってくる所のおぞましさは、当時は聞くことを避けていたように思う。
私がクラシックを聴き始めたのは高校生の頃で、当時は派手で分かりやすいバルトークやラヴェル、ドビュッシー、ストラヴィンスキーの曲にとてもハマっていたのを覚えている。こうして振り返ってみると、これら作曲家の名曲の多くをブーレーズの録音で筆おろしして貰ったように思う。改めて色々な録音を聞き返しつつ偉大な指揮者・作曲者を偲びたい。