はせろぐ

コンサルタントの余暇を綴るログ

酩酊女子を読む

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Kindleジャケ買いしてみた。
 
日本酒一つにつき、十ページ弱のエピソードとそれを表すイラストが載せられている。日本酒ごとに、イラストを描く人もエピソードを書く人も変わる。
 

そのコンセプトや、良し

日本酒を好きな人が増えてくれたら、とても嬉しい。語り合える人が増えることは、単純に楽しいことだ。
お金の話もしよう。マーケットが拡大して生産量も増えれば、単位あたりのコストは下がるだろう。美味い酒を作っているが、風前の灯にあるような蔵も存続するかもしれない。少しでも日本酒を手にとってみようと思う人が増えることは、既に日本酒を好んで飲んでいる私達にとっても恩恵があるのだ。
 
この本には、日本酒をそんなに飲んでない人でもパッと見て興味を引く表紙とコンセプトがある。エピソードに載せて日本酒を紹介することは、初心者にはより効果的だろう。飲み始めたばかりの人に、山廃がどうだ、精米歩合がどうだ言っても刺さらない。味わいを想起させるシーンや登場人物の感じ方の描写の方が効果的なのは、明らかだろう。
 

だからこそ惜しいところも

エピソードごとに書き手も変わり、登場人物もシーンも変わる。十ページ弱という非常に限られた紙面で、日本酒を紹介しつつ、読み手を引き込むには、それ相応の実力が書き手に求められる。陳腐に感じる文章が多かったのは、残念ながら事実だ。目まぐるしく変わる登場人物たちに、直ぐには引き込まれないのも設計上仕方ないだろうとは思う。
 
例えば一人の書き手と一貫した登場人物で複数の日本酒を扱う、そんな本があったら結構読みたいなってね。
 

備忘までに本書で紹介された日本酒

秋鹿や鳳凰美田、たかちよ、風の森など有名どころが並ぶのでラインナップとしても、入門に良さそうだ。メロンや洋梨などの果実の香りがパッとたちあがり、品の良い甘さがサッと切れて行くような最近流行っている飲み口の酒が多いのも入門に向いているだろう。
 
大信州、秋鹿、鳳凰美田白露垂珠、たかちよ、風の森、若戎、三芳菊、人気一、伊根満開、酒一筋、石鎚、来福、玉川、鍋島、九頭龍、開華、川鶴、五橋